コラム

「街の資産としてのホテルと空間」平澤 太理事

先日出張で大阪と京都を回ってきました。ここ数年のインバウンド対策とも言えるショートトリップ向けのホテル、ホステル&アパートメントの出店は目をみはるものがあります。
ショートトリップ向けではカプセルホテルを洗練させ女性でも海外からの来訪者でも手軽に利用できるナインアワーズ、ホステルでは風情のある旅館をリノベーションした錦のピースホステルなど話題の施設も多く、注目を集めています。一般的に海外からの来訪者の中でもバックパッカーのような長期滞在者向けに宿泊費を安価に抑えた業態がユースホステルになりますが、ユースホステルも多様化し、二段ベッドが並ぶドミトリータイプから狭小個室を備えたものなど、宿泊者のニーズに応える施設が増えた事も特筆すると思います。

ホテル業の場合、日本では旅館業法が営業許可と設備基準を明文化しており、大まかには10室以上がホテル、5室以上が旅館、この二つに該当しない簡易宿所と下宿業の計4つが規定されています。
また、モーテルやラブホテルとの線引きとして風営法があり、建築物としては建築基準法と消防法が絡み、ホテル業ではマストとなるダイニングエリアをレストランとして営業するために食品衛生法が関与してきます。

最近では、長期滞在用のホステルとショートトリップ用の客室を兼ね備えた「ホテル&アパートメント」が隆盛しており、今回ご紹介するホテルアンテルームもこの類に入ります。

※右画像アンテルームの公式サイトからの引用です。

アンテルームについて:築23年の学生寮をコンバージョンし、2011年4月にオープンしたホテルアンテルーム京都。UDS株式会社が事業企画・設計・運営を手掛けるホテルと長期滞在型ホテル(アパートメント)、ギャラリーからなる複合施設です。
2016年7月には、ホテルコンセプトである「アート&カルチャー」に「和」の要素を加え、新たに67室を増床し、総床面積6066平米に拡張しました。彫刻家・名和晃平が率いるクリエイター集団「SANDWICH」をはじめ、京都や関西エリアを中心に活動するアーティストやクリエイターをパートナーに迎え、アートを切り口に、様々な発信を行っていまアンテルームでは、アートを切り口にパブリックエリアにギャラリーやコレクションが並ぶだけでなく、アーティストが設えた部屋などがあり、現在進行形+関西+アートというコンセプトを明確に打ち出すことで、差異性を生み出しています。
また京都という文化の街に惹きつけられてくる感度の高い人々、インバウンドで訪れる外国客も包括し、伝統文化や史跡だけではない「今の京都」をフィルタリングしています。
インバウンドに目の向きがちな京都の中であっても、このコンセプトはかなり異色です。

また京都という文化の街に惹きつけられてくる感度の高い人々、インバウンドで訪れる外国客も包括し、伝統文化や史跡だけではない「今の京都」をフィルタリングしています。インバウンドに目の向きがちな京都の中であっても、このコンセプトはかなり異色です。

話題性もありますが、このホテルが秀逸なのはこのホテルの中で飲食住が賄えてしまうこと。このクラスのホテル(安価なバジェットラインクラス)ではダイニングレストランかカフェが併設して終わりということが多いのですが、ダイニングカフェとは別にラウンジバーがあり、深夜まで利用できます。人との接点を結びつける手段としてバーは有効ですし、場所柄周りにあまりお店が無いことも理由なのかもしれませんが、利用者のことをよく考えていると思います。

フードビジネスコンサルタント協会
株式会社デザインカフェ
平澤 太理事

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